Ferrari 430
2004年7月20日にフェラーリ本社でVIP向けに特別内覧会が行われた後、9月のパリ・サロンで正式に発表された、
360の後継モデル。アルミニウム素材を使ったスペースフレームに、水冷V型8気筒エンジンを縦置き搭載するという基本構造は
変わらないが、約70%を新設しており、大幅に進化している。エンジンは360が搭載していたDOHC5バルブの改良版ではなく、
マセラティに供給していたDOHC4バルブをベースに排気量を4308ccに拡大。最高出力は90PSアップした490PSで、
最高速度は315km/hに達する。エンツォのために開発された可変式バルブタイミングシステムの採用、ベルト式からチェーン式に
変更されたカムシャフトの駆動方式などにより、パフォーマンスだけでなくも耐久性なども向上している。
ミッションは、6速MTと、シフト時間が最短で150mm/秒に短縮された2ペダルのセミAT、F1マチックがラインアップされる。
クラッチとミッションの間に、フェラーリ初の電子制御ディファレンシャル、Eデフを採用。
機械式デフのフリクションディスクに代わって内蔵された湿式多板クラッチが、各種センサーの情報をもとにコントロールする。
これはF1マシンからフィードバックされたテクノロジーであり、490PSの大パワーを確実に路面に伝えるために
左右のトルク配分を常に最適化し、CSTとともに2WDでありながら高いコーナリング性能を可能にする。
わずか2kmしかないフィオラノのテストコースで、ラップタイムを約3秒も短縮したという。
サスペンションは360から変更はないが、セッティングは見直されている。ブレーキも同様だが、360ではオプションだった
カラードキャリパーが日本仕様では標準となり、ブラック、レッド、ロッソ、イエロー、グレイからセレクトできる。
なお、エンツォ、チャレンジストラダーレで採用されたCCMローターを標準装備するカーボンセラミックブレーキシステムを
オプション装着も可能。高性能だが、価格も166万円となっている。ホイールは、鍛造のアルミ製で19インチに拡大。
フロントが7J、リアが10Jとなるが、オプションでチャレンジストラダーレ・タイプもオーダーできる。
タイヤは、フロントが225/35ZR19、リアが285/35ZR19とチャレンジストラダーレと同じサイズになり、
ブリヂストンのポテンザRE050が標準で装備される。スペースフレームはヨーロッパ/アメリカの安全基準に対応するため、
フロントバンパー裏に対衝突用メンバー、ノーズやキャビンなどのフロアにジュラルミン素材を追加するなど、
各部に補強が加えらた。剛性が高められ、ねじり剛性で20%、曲げ剛性で8%向上している。
エクステリア・デザインは、ピニンファリーナ社とフェラーリが新設したデザインセンターのチーフ・デザイナー、
フランク・ステフェンソンが担当。360同様、ボディ下部のベンチュリートンネルにダウンフォースの多くを獲得する
グランドエフェクト・カーとして設計されているが、エアロダイナミクスをさらに追求。ダウンフォースは、
360と比べて約50%アップしている。フロントノーズ中央には、アンダーカウルへとエアを高速で送り込むインテークを装備。
左右のダクトはサイズ的には360と変わらないがデザインを一新するなど、1960年代に活躍した
フェラーリ・コンペティツィオーネに用いられたシャーク・ノーズを継承している。ヘッドライトは、プロジェクタータイプ。
ポジションランプはカバーに沿ったアーチ状となっているが、LEDではない。ボディサイドの
スクーデリア・フェラーリ・エンブレムは、360では16万円のオプションだったが、日本仕様では標準装備となった。
サイドミラーはテスタロッサをイメージさせる2本支柱タイプになり、運転席側にはF430のロゴが刻印されている。
ドアの後ろにある、エンジンルームへのエアインテークはデザインが変更され大型化、そこからつながるリアフェンダーのラインも
275LMをイメージによりグラマラスになった。テールランプは丸型だが、小型化されるとともに取り付け位置も変更、
リアグリルにはエンジンの熱を逃がすためのエアアウトレットが設けられるなど、かなりエンツォのイメージを
取り入れている。マフラーは左右4本出しで、ディフューザーに4本の縦フィンが付き、空力特性を向上させている。
インテリアは360をさらに洗練させたイメージで、レザーとカーボンがふんだんに使われている。メーターパネルは、
中央に10000rpmまでのタコメーター、その右側に360km/hまでのスピード、左側に水温、油温、油圧の各メーターが配置されている。
なお、タコメーターの文字盤は、レッドかイエローをセレクトできる。ステアリングホイールは、大きく変化した。
センターパッド左下の赤いスイッチはスーターターボタンで、リモコン一体式になったキーを
イグニッションに差し込み、ひねった後、このボタンをプッシュするとエンジンが始動する。センターパッド右下には、
F1マシンのテクノロジーが活かされた「マネッティーノ」という走行モードの切り替えスイッチが配置される。
滑りやすい路面用の「アイス」と「ローグリップ」、標準の「スポーツ」、スポーツ走行用の「レース」、
すべての電子制御をカットする「CSTオフ」の5つのモードがあり、各モードごとにショックアブソーバーの減衰力、
CST(コントロール・フォー・スタビリティ&トラクション)のかかり具合、F1マチック仕様車はそのギア変速スピードが変更される。
生産は、スカリエッティの工場でフレームにボディパネルを組み付け後、フェラーリ本社に送られる。そして、塗装、エンジンなどの組み付け、
最終アッセンブリーが行われる。日本でのバックオーダーは400台を超えているが、その半数はホワイトのボディカラーを希望している。
2005年は約160台が輸入される予定で、価格は6速MTが2079万円、F1マチックが2205万円と発表された。
2005年3月のジュネーブ・ショーで、オープンモデルのF430スパイダーが発表された。
個性的なライトまわり |
空力処理されたノーズ |
大容量のラゲッジルーム |
日本仕様は標準のエンブレム |
運転席側ミラーのF430の刻印 |
カラーをセレクトできるキャリパー |
エンツォ風のテールランプ |
大型化されたディフューザー |
▲430スパイダー
▲430チャレンジ
▲430スクーデリア
▲スクーデリア・スパイダー16M
430 | 430Spider | |
発表年 | 2004 | 2005 |
生産年 | 2005〜 | 2005〜 |
シャシー | アルミスペースフレーム | |
全長×全幅×全高(mm) | 4512×1923×1214 | 4512×1923×1234 |
ホイールベース(mm) | 2600 | |
トレッド前後(mm) | 1669/1616 | |
車両総重量(kg) | 1450 | 1520 |
エンジン | 水冷90度V型8気筒DOHC | |
ボア×ストローク(mm) | 92.0×81.0 | |
総排気量(cc) | 4308 | |
燃料供給 | ボッシュモトロニック | |
圧縮比 | 11.3 | |
最高出力(PS/rpm) | 490/8500 | |
最大トルク(kgm/rpm) | 47.4/5250 | |
エンジン搭載位置 | ミッドシップ縦置き | |
駆動方式 | 後輪駆動 | |
トランスミッション | 6速MT/F1マチック |
|
0→100km/h(秒) | 4.0 | 4.1 |
0→400m(秒) | 12.0 | |
0→1000m(秒) | 21.65 | |
最高速度(km/h) | 315 | 310 |
ステアリング | ラック&ピニオン | |
サスペンション | 前後ダブルウィッシュボーン | |
ブレーキ | 前後ベンチレーテッド・ディスク | |
ホイール | 7.5J×19(F)、10J×19(R) | |
タイヤ | 225/35ZR19(F)、285/35ZR19(R) | |
乗員定員(名) | 2 |
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