Ferrari 512TR
1992年初頭にカリフォルニアのビバリーヒルズ、続いてロサンゼルスとデトロイトのモーターショーで発表された、
テスタロッサのマイナーチェンジモデル。車名の512は「5リットル仕様の水冷V型12気筒エンジン」を意味し、
TRは「テスタロッサ」の略。基本設計はテスタロッサのものを引き継ぐが、リアのサブフレームは溶接され、一体型フレームになった。
マテリアルは角型断面のクロームモリブデン鋼のままだが、この新構造により剛性は驚くほど向上した。
さらに、パーツ数の削減や素材の見直しによる軽量化に加え、エンジンの搭載位置を30mmダウン。
タイヤ/ホイールも18インチに拡大し、それに伴いブレーキディスクも大径されたことにより、パフォーマンスは大幅にアップしている。
エンジンはテスタロッサの水冷180度V型12気筒DOHCを受け継いでいるが、燃料供給装置はボッシュ社のK/KEジェトロニックから、
同じくボッシュ社のモトロニックM2.7に変更されるとともに、圧縮比も9.2から10.0に高められた。これにより、最高出力は
35PSアップの425PS/6750rpm、最大トルクは0.1kgmアップの50.1kgm/5500rpmを発揮し、最高速度も290km/hから
313.8km/hにアップしている。組み合わされるミッションは5速MTで変更はないが、ハイパワー化に対応して、ギヤレシオが見直された。
また、シフトのロッド部分にロールベアリングが採用され、よりスムーズなシフトフィールが可能になった。
サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーンで変更はないが、そのセッティングが大幅に見直された。
ホイールはテスタロッサでは16インチだったが、一気に2インチアップされ18インチに。リム幅はフロントは8Jで変更はないが、
リアは10Jから10.5Jにアップ。デザインも一新され、同じ5スポークながら、より洗練されたイメージとなっている。
タイヤサイズも変更され、フロントが235/40ZR18、リアが295/35ZR18となった。また、ホイール径の拡大にともなって、
ブレーキディスクも、フロント315mm、リア310mmに拡大。サイズだけでなく、放熱効果に優れたドリルドタイプに変更されている。
エクステリア・デザインはピニンファリーナ社によるもので、フロントを中心により洗練されたものとなっている。
グリルとコンビネーションランプは、先にデビューした348tb/tsのように完全に独立。ブレーキ用のダクトはコンビネーション
ランプの下に設けられている。また、テスタロッサではブラックで塗装されていたボトム部分が、ボディ同色に変更されている。
ホイールは5本スポークは変わらないものの、サイズが18インチになるとともに、より洗練されたデザインに変更。リアフェンダー前にある
ピニンファリーナのエンブレムは、デザインが一新されている。ルーフからリアエンドまでは、テスタロッサの直線的なラインから、
少し緩やかなものになった。エンジンフードはエンジンの搭載位置が下げられたためフラットになるとともに、
その部分がテスタロッサではボディ同色だったが、ブラックに変更されている。リアグリル中央にあるプランシングホースは、
ブラックからシルバーに変更され、より目立つようになった。リアバンパー下も空力を意識して形状が変更されている。
インテリアは大きな変更はないが、縦型のセンターコンソールが廃止され、エアコンの吹き出し口部分の下に、
時計、燃料、油温の3連メーターが追加された。メーターパネルは、文字の書体が変更されている程度。
シフトゲート手前のスイッチ類も、使いやすいようにレイアウトが改められた。シートは形状が変更され、ホールド性が
高められたほか、着座位置も低くなり、ヘッドレストも小型化された。あわせて、ステアリングにチルト機構が装備され、
よりベストなドライビングポジションを取りやすくなった。センターコンソールが廃止されたため、
オーバーヘッドコンソールにリアフォグランプのスイッチが追加された。スピーカーはタイヤハウスから、ドアへ移された。
1994年10月のパリ・サロンで512Mが登場するまでの約2年間に、2280台が生産された。
バンパー/スポイラー一体型 |
新デザインの18インチホイール |
ブラックになったエンジンフード |
リアエンドまでの穏やかなライン |
発表年 | 1992 |
生産年 | 1992〜1994 |
生産台数 | 2280 |
シャシー | 鋼管スペースフレーム |
全長×全幅×全高(mm) | 4480×1976×1135 |
ホールベース(mm) | 2550 |
トレッド前後(mm) | 1532/1644 |
車両総重量(kg) | 1473 |
エンジン | 水冷180度V型12気筒DOHC48バルブ |
ボア×ストローク(mm) | 82.0×78.0 |
総排気量(cc) | 4943 |
燃料供給 | モトロニックM2.7 |
圧縮比 | 10.0 |
最高出力(PS/rpm) | 425/6750 |
最大トルク(kgm/rpm) | 50.1/5500 |
エンジン搭載位置 | ミッドシップ縦置き |
駆動方式 | 後輪駆動 |
トランスミッション | 5速MT |
変速比 1速 2速 3速 4速 5速 最終減速比 |
2.916 1.882 1.421 1.087 0.815 3.214 |
0→100km/h(秒) | 4.8 |
0→400m(秒) | 12.8 |
0→1000m(秒) | 22.9 |
最高速度(km/h) | 313.8 |
ステアリング | ラック&ピニオン |
サスペンション | 前後ダブルウィッシュボーン |
ブレーキ | 前後ベンチレーテッド・ディスク |
ホイール | 8J×18(F)、10.5J×18(R) |
タイヤ | 235/40ZR18(F)、295/35ZR18(R) |
乗員定員(名) | 2 |
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