Ferrari 365GTB/4 Daytona
ランボルギーニ・ミウラ、マセラーティ・ギブリなどの強力なライバルに対抗するため、1968年秋のパリ・サロンでデビュー。
前年の1967年2月4日、アメリカ・フロリダ州で行われた「ワールド・マニュファクチュアラーズ・チャンピオンシップ」シリーズ第1戦の
デイトナ24時間レースで、無敵のフォードGT40を破り、フェラーリ330P4と412Pが1-2-3フィニッシュという快挙を達成。
このクルマが関係していたわけではないが、その勝利を記念して「デイトナ」というニックネームで呼ばれるようになった。
正式には「365GTB/4」で、当時のフェラーリ伝統により1気筒あたりの排気量をそのまま車名にしたもの。
つまり、4390cc÷12気筒=365ccの365であり、ベルリネリッタ・ボディ(B)を持つGT。最後の「4」は、カムシャフトの本数を表す。
ロングノーズ&ショートデッキの流麗なボディのデザインと製作は、ピニンファリーナ社が担当。
スチールのボディパネルは、ピニンファリーナ社の職人によってハンマーで叩き出されて加工された後、
スカリエッティ社に送られ、バッカリー社製のフレームと結合された。
伝統の4.4リットル水冷V型12気筒エンジンをDOHC化し、フロントに搭載。フロントヘビーな重量配分にならないよう、
ミッションとデフを一体化してリア側にレイアウトする、トランスアクスル方式を採用。最高出力352PS/7500rpm、
最大トルク44.0kgm/5400rpmを発揮し、最高速度280km/hと発表された。サスペンションは、前後ともダブルウィッシュボーン+コイルに
スタビライザーを装備している。ブレーキは、前後ともディスク。ホイールは前後とも7.5J×15で、タイヤも前後共通の215/70VR15を履く。
ヘッドライトはプレクシグラスでカバーされた固体式だが、安全基準に対応するため
1970年に北米仕様車がリトラクタブル・ヘッドライト化。翌1971年以降は、すべてがリトラクタブルに変更された。
一般的にプレクシグラスを前期型、リトラクタブルを後期型と呼んでいる。
1969年のフランクフルト・ショーでオープンの365GTS/4、通称「デイトナ・スパイダー」が発表された。
これはベルリネッタのルーフをたんに切り取ったものではなく、ボディは補強を含め、新たに作り直されている。
北米を中心に人気を得たが、127台しか生産されなかったため、ベルリネッタの屋根を切断した即席スパイダーも少なからず存在する。
1969年10月のフランクフルト・ショーで、スペチアーレと呼ばれるスタディ・モデルが発表された。
これはリトラクタブルヘッドライトを持つ後期型をベースにピニンファリーナ社が製作したもので、
リアウインドウがキャンパス張りになっており、ジッパーで着脱可能となっていた。インテリアはノーマルだが、
アイボリーの本革とナルディ社製のウッド・ステアリングがエレガントな空気を醸し出していた。
ワークスのコンペティションモデル(レーシングモデル)も15台が製作され、ル・マン、ツールド・フランス、
セブリング12時間、デイトナ24時間など、さまざまなレースで優秀な成績を残した。
1968年から1973年までに、コンペティションモデルを含めてベルリネッタは1383台、365GTS/4は約127台が作られた。
フェラーリは、デイトナを発表した翌1969年6月にフィアットとの資本提携を発表。
以降の市販車のボディ生産にはプレス機械が導入されたため、職人のハンドメイドによる最後のフェラーリとなった。
▲365GTB/4 デイトナ 前期型
▼365GTB/4 デイトナ 後期型
▲365GTS/4 デイトナ・スパイダー
▼・デイトナ・スペチアーレ
■Specification 発表年 1968 生産年 1968〜1973 生産台数 1383(365GTS/4含まず) シャシー 鋼管チューブラーフレーム 全長×全幅×全高(mm) 4425×1760×1245 ホールベース(mm) 2400 トレッド前後(mm) 1440/1425 車両総重量(kg) 1200 エンジン 水冷60度V型12気筒DOHC ボア×ストローク(mm) 81.0×71.0 総排気量(cc) 4390 燃料供給 ウェーバー40DCN×6 圧縮比 9.3 最高出力(PS/rpm) 352/7500 最大トルク(kgm/rpm) 44.0/5500 エンジン搭載位置 フロント縦置き 駆動方式 FR トランスミッション 5速MT 最高速度(km/h) 280 ステアリング ラック&ピニオン サスペンション 前後ダブルウィッシュボーン+コイル ブレーキ 前後ディスク ホイール 7.5J×15(F/R) タイヤ 215/70VR15(F/R) 乗員定員(名) 2
(C)Copyright 2010 SUPERCAR NET, All Rights Reserved.