Lotus Europa
ヨーロッパは、ロータス初の市販ミッドシップ・モデルとして、ランボルギーニ・ミウラと同じ1966年に発表された。
タイプ46という社内コードを与えられ、セブンの後継モデルとして1965年1月に開発がスタート。2年弱という短い期間で完成したヨーロッパは、
1.6mmの鋼板を溶接したバックボーン・フレームに、軽量なFRP製ボディを接着。サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、
リアがラジアス+ロワートランスバースで、エンジンは自社製ではなく、専用チューニングを施した
ルノー製1.5リッター直列4気筒を搭載した。ロータス創業者のチャップマンは、当初このクルマに別の名前を付けるつもりでいた。
紆余曲折あり、最終的には木星の衛星の名前であり、欧州をイメージさせる「ヨーロッパ」に落ち着いた。
セブンの後継モデルでありながら、実際には1962年に発表されたエランのノウハウが数多く導入されている。バックボーン・フレームと
FRPボディの組み合わせは、エランから受け継いだもの。この手法は、開発期間の短縮とコストの削減に大いに役立った。
エランで採用されたリトラクタブル・ヘッドライトとパワー・ウインドウが省略されるなど、装備は簡素。バンパーをはじめ、パーツは
他メーカーのものが多用されている。手を抜いたわけではなく、その分ミッドシップ・スポーツカーとしての基本である「軽さとバランス」を追求。
風洞実験を繰り返し、0.33だったCd値を、当時としては驚異的な0.29まで向上させることに成功している。
ヨーロッパには、初代のS1にはじまり、2代目のS2、3代目のツインカム、最終のスペシャルと、4つのモデルが存在する。
S1は、固定式シート、ハメ殺しのサイドウインドウなど、運動性能を優先したストイックなモデルであり、イギリス以外での
販売を予定していたため、左ハンドルのみの設定しかない。1967年には、実用性を求める顧客の声に応えて、S2にマイナーチェンジ。
パワーウインドウやグローブボックスなどが装備されたほか、アンダートレイが省かれるなど、細部にわたって改良が行われた。
このモデルから北米と、ようやくイギリス本国でも販売が開始されるようになった。1971年には、モア・パワーの声に応えて、
エラン共用のエンジンを搭載したツインカムが登場。チンスポイラーが追加され、エンジンフード左右も大きくえぐられた。
続く1972年には、エラン・スプリントのビッグ・バルブ・ユニットを搭載するスペシャルへと発展した。
なお、S1(タイプ46)をベースにプロモーション効果を狙って製作されたレーシングカー、47GTも存在。
1969年当時のグループ6レギュレーションに合わせて、62というモデルも2台のみ製作された。
1975年から1979年に少年ジャンプで連載された「サーキットの狼」の主人公、風吹裕也の愛車としても知られるヨーロッパ。
非力ながらもバツグンのコーナリング性能で、大排気量のポルシェターボやカウンタックなどと互角に張り合う姿は、子供たちを大いに熱狂させた。
生産台数は、S1が644台、S2が3615台、ツインカムが約1600台、スペシャルがシリーズ最高の約3200台となっている。
日本には1960年初頭から1970年初頭までロータスの正規ディーラーを務めた東急商事により輸入されたが、正確な台数は不明。
現在日本にあるヨーロッパのほとんどは、並行輸入によって入ってきたものだ。
1972年当時の新車価格は、315万円。現在はモデルやその個体のコンディションにもよるが、250万円から450万円といったところ。
専門店に行けばそれなりの台数があるし、個人売買という手もある。エンジンフードのダンパーなど、
ごく一部を除いて、ほとんどのパーツが入手可能。他のスーパーカーに比べて維持しやすいので、サラリーマン・オーナーも少なくない。
ただし、ツインカムをスペシャル仕様にするなど、オーナーの好みやパーツの有無により、オリジナルを保っている個体は徐々に減少している。
▲S1
▲S2
▲ツインカム
▲スペシャル
▲47GT
▲62
S1 | S2 | ツインカム | スペシャル | |
発表年 | 1966 | 1967 | 1971 | 1972 |
生産年 | 1966〜1967 | 1968〜1971 | 1971〜1972 | 1972〜1975 |
生産台数 | 644 | 3615 | 約1600 | 約3200 |
シャシー | バックボーンフレーム | |||
全長×全幅×全高(mm) | 4000×1638×1092 | 4000×1638×1143 | 4000×1638×1117 | |
ホールベース(mm) | 2337 | 2340 | ||
トレッド前後(mm) | 1359/1346 | 1375/1358 | ||
車両総重量(kg) | 612 | 624 | 711 | 738 |
エンジン | 水冷直列4気筒OHV | 水冷直列4気筒DOHC | ||
ボア×ストローク(mm) | 76.0×81.0 | 82.55×72.275 |
||
総排気量(cc) | 1470 | 1558 | ||
燃料供給 | ソレックス35DIDSA2 | デロルトDHLA40 | ||
圧縮比 | 10.25 | 9.5 | 10.3 | |
最高出力(PS/rpm) | 78/6000 | 82/6000 | 105/5500 | 126/6500 |
最大トルク(kgm/rpm) | 10.6/4000 | 14.9/4000 | 15.6/5500 | |
エンジン搭載位置 | ミッドシップ縦置き | |||
駆動方式 | 後輪駆動 | |||
トランスミッション | 4速MT | 5速MT | ||
変速比 1速 2速 3速 4速 5速 最終減速比 |
3.61 2.25 1.48 1.03 3.56 |
3.62 2.33 1.60 1.21 0.87 3.77 |
||
ステアリング | ラック&ピニオン | |||
サスペンション(F/R) | ダブルウィッシュボーン+コイル、スタビライザー/ラジアスアーム、ロワートランスバースリンク+コイル | |||
ブレーキ(F/R) | ディスク/ドラム | |||
ホイール | 4.5J×13 | 5.5J×13 | ||
タイヤ | 155-13 | 175/70HR13 | 175/70HR13(F) 、185/70VR13(R) | |
乗員定員(名) | 2 |
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