Porsche 996

新設計の水冷エンジンを搭載し、1997年のフランクフルト・ショーで登場。911だが、歴代モデルと区別するために、
コードネーム996と呼ばれる。エクステリアは、ライトとウインカーが一体となった「涙目」が特徴。
フロントウインドウの傾斜も大きくなり、空力が向上している。快適性を追求しボディは
全長で185mm、全幅で35mm、全高で5mm拡大され、ひとまわり大きくなったが、車両重量は993よりも約50kg軽量化した。

エンジンは、水平対向6気筒だが、それまでの空冷ではなく、水冷式になった。959以来の4バルブDOHCヘッドを採用し、
3.4リットルでありながら、最高出力300PS、最大トルク35.7kgmを発揮。3.6リットルだった先代の993よりもパワフルで、
そのパワーは964ターボに匹敵する。ミッションは、6速MTのほか、マニュアル変速ができる5速ティプトロニックATもラインナップ。
ステアリング上のスイッチでギアチェンジを行うことにより、マニュアルモードの走行ができる。
ミッションは、トランスアクスル方式。エンジンとボルトで結合され、ワンユニットとして形成されている。
サスペンションは、993から受け継ぎ、フロントがストラット、リヤがファイブリング。ただし、フロントは、
ラック&ピニオンのステアリング･システムを、フロントアクスル前にレイアウトしてあり、ボクスターと同じになっている。
リアもアームのサポート方法が変更されるなど、改良を受けている。ブレーキは前後でベンチレーテッド・ディスクを採用。
フロント318mm、リア299mmで、ともにアルミ製のモノブロックキャリパーを装着する。
ホイールはフロントが7J×17、リアは9J×17。タイヤは、フロントが205/50ZR17、リアが255/40ZR17を履く。

エクステリアだけでなく、インテリアも大幅に変更。ホイールベースが80mm延長されているため、若干広くなった。
メーターは伝統の5連だが、993までは個別に独立していたが、重なり合うようなデザインに変更。
左から電圧、スピード、タコ、水温/フューエル、油圧となっている。スピードメーターには、デジタルも併設されている。
ステアリングは、レザーを使用した4本スポーク。シートは部分的にレザーが使用されているタイプだが、
オプションでスポーツシートも用意される。デュアルエアバッグに加えて、左右のドアにサイドエアバッグも装備されるなど、
安全性も向上している。リヤシートは大人が座るには少し窮屈で、短時間の移動用と考えたほうがいい。
シートバックを倒せば、ラゲッジスペースとして使える。フロントのラゲッジスペースとあわせれば、かなりの荷物を積める。

デビューは1997年だが、日本には1998年モデルから導入された。
1998年4月に、カブリオレが追加された。電動ソフトトップは約20秒で開閉でき、リアシートの後ろに
ウインドウディフレクターを装備。フロントシートとロールバーの間をカバーし、風の巻き込みを防ぐ。
転倒時の安全性を確保するために、ポップアップ式のロールバーを備える。ハードトップを装着することもできる。

1998年10月、4WDシステムを搭載したカレラ4が追加。トルク感知の4WDシステムは、先代の993同様、
VCU（ビスカスカップリング）によるトルク分配方式で、フロントタイヤのトルクは5〜41.5＆、リアが95〜58.5％の間で変化する。
これに対応すべく、フロントパネルヘッドまわり、フロントアクスル取り付け部分を中心に強化されている。
車重は、カレラ2に対して50kgのアップの1463kgとなっている。ボディタイプはクーペとカブリオレで、
それぞれ5速MTと5速ティプトロニックATが用意される。

2001年9月、排気量が3.6リットルに拡大され、最高出力も340PSにアップ。ボクスターと共通だったライトも、
ターボのデザインのものに変更された。また、大型のガラスルーフを備えるタルガが、ラインナップに追加された。
トップ部分は走行中でも開閉できるほか、リアウインドウはハッチバックのように開けることもできる。

2002年2月、ターボルックのボディを採用したカレラ4Sが追加された。
2003年9月、ターボカブリオレ、4WDシステムを搭載したカレラ4Sカブリオレもラインナップに追加された。
あわせて、カブリオレのリアウインドウがガラスに変更された。

初期型の涙目ライト	02モデルからターボと同じに	ノーズのダクトも張り出した	フロントボンネット
傾斜がきつくなったFウインドウ	フェンダーもさらになめらかに	リアも張り出しがなくなった	テールランプも新デザイン

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