ダッジ / Dodge
生産国:アメリカ
Viper RT10
1989年のデトロイト・ショーで、レッドに塗られたプロトタイプが発表された。「ヴァイパー」とは、アメリカ中西部の
砂漠地帯に生息する猛毒のガラガラヘビを意味する。ロングノース&ショートデッキの名車「シェルビー・コブラ」を彷彿させる
スタイリングとメカニズムを持つが、それも当然。現代版コブラともいえるこのクルマの開発には、キャロル・シャルビーも関わっている。
このクルマに魅了された人々からの市販を望む声が引きも切らず、同年秋には市販化が決定。安全基準をクリアするように
フロントウィンドウの高さが見直されたほか、エキゾーストに触媒が追加されるなど、さまざまな改良が行われた。
1991年5月に行われたインディー500のペースカーとして登場し、シーズン終了までその役目を務めた。
新たに建設された専用工場の準備も整い、1992年3月に生産開始。量産モデルとプロトタイプの違いは、
シート後方にタルガ風のロールバーの追加、露出していたサイドのエキゾーストがサイドシル内に隠された、
こと。
5月末にデリバリーが開始されたが、本国アメリカでのオーダーに生産が追いつかず、輸出もできないほどの大ヒットを記録。
マニュアル・ミッションのみで、当初はソフトトップも用意されてなかったことを考えると、驚異的な人気といえる。
シャシーは鋼管スペースフレームで、すべての剛性を受け持つ。ボディパネルは
RTM(レジン・トランスファー・モールディング)製法によるFRPで、ボンネットだけで約400円もする。
もともとはトラック用に開発された、オールアルミ製7990ccの水冷V型10気筒OHVエンジンを、フロントに縦置き搭載。
最高出力400PS/5200rpm、最大トルク62.2kgm/3600rpmを発揮。エンジンの搭載位置はフロントミッドシップで、オイルの潤滑はドライサンプ。ミッションは6速MTのみ。
サスペンションはフロント/リアともにダブルウィッシュボーンを採用。ブレーキもフロント/リアともにベンチレーテッド・ディスクを採用。
キャリパーはブレンボ社製で、フロントが4ピストン、リアが2ピストン。サーボアシストは付くが、ABSは装備されない。
ホイールはセンターロック式でフロントが10J×17、リアが10J×17。タイヤはフロントが275/40ZR1、
リアが335/35ZR17でミシュラン社製のXGT-Zを履く。
ダイナミックでマッチョなエクステリア・デザインは、CAD-CAMというコンピュータによる。ボンネットは、前ヒンジで
前方に大きく開くタイプ。開口部が大きいので、エンジンの整備性にも優れている。フロントフェンダー後方には、
エンジンルームからの放熱用のエアアウトレットが設けられている。マフラーはサイド両側からの2本出し。
インテリアは、いたってシンプル。革巻きのステアリングホイールの奥には、大径のタコメーターとスピードメーター、
ダッシュボード上部には4連のメーターがレイアウトされる。センタートンネルは、かなりワイドで全体的にタイトな印象を持つ。
初期モデルの最高出力は400PSだったが、1996年モデル以降は415PS、1997年モデル以降は
450PSへとパワーアップが図られている。同時に1996年モデルからシャシーが強化されており、鋼管チューブラーフレームは
14%軽量化されるとともに、剛性は25%アップ。サスペンションも、アルミ鍛造のAアームやステアリングナックル、
リアハブキャリアなどもスチールからアルミへ変更されており、バネ下重量が軽減されている。
2001年のデトロイト・ショーで2代目が発表されたが、ロードスターのみだった。
なだらかなエアダム |
エアスクープのないノーズ |
センターロックのホイール |
オープントップ |
右リアフェンダー上部の給油口 |
なだらかなリアエンド |
Fフェンダーのみのエアアウトレット |
サイド両側出しのマフラー |
Viper GTS
1993年、デイトナ・コブラの再来と言われるクーペボディのGTSが登場した。フロントに搭載される
オールアルミ製7990ccの水冷V型10気筒OHVエンジンはRT10と同じだが、約20%の排圧低減により最高出力は450PSに、
最大トルクは69.2kgmに、若干アップしている。他のメカニズムも変更はなく、サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーンを採用。
アルミ鍛造のAアームやステアリングナックル、リアハブキャリアなどもスチールからアルミへ変更されており、
バネ下重量が軽減されている。ブレーキはフロント/リアともにブレンボ社製のキャリパーを持つ
ベンチレーテッド・ディスクを採用。ホイールはセンターロック式でフロントが10J×17、リアが10J×17。
タイヤはフロントが275/40ZR1、リアが335/35ZR17でミシュラン社製のMXX3が標準装備される。
このGTSは、1996年モデルのRT10同様、シャシーが強化されており、鋼管チューブラーフレームは14%軽量化されるとともに、
剛性は25%アップしている。エクステリアは、若干RT10から変更されている。ノーズはエアダムが張り出しており、
エアスクープを追加。かつてのイタリアのカロッツェリアが採用したダブルバルブのルーフ、ダックテールをはじめとする
リアエンドの処理など、かなり印象が異なる。フロントノーズからリアエンドまで走る大胆なホワイトのストライプは、
キャロル・シェルビーも承認。リアのコンパートメントは意外と広く、リアのガラスハッチを開閉すれば使用できる。
インテリは、RT10同様にシンプルで、革巻きのステアリングホイールの奥には、
大径のタコメーターとスピードメーター、ダッシュボード上部には4連のメーターがレイアウトされる。
シートは、本皮製のリクライニングバケットタイプでRT10と同じ形状を持ち、3点式のハーネスを装備。
1997年にカーボンボディで最高出力700PSを誇るレーリング仕様のGTS-Rが登場。エンジンベイまわりやフロア部が補強され、
クロムモリブデン・チューブの強固なロールケージが組み込まれており、フレーム単体重量はノーマルの45.3kgから
78kgに増加しているが、ボディ剛性は2倍にアップしている。1998年から2000年までGTSカテゴリーで3連覇、
2001年はFIA-GT選手権でチャンピオンに輝くなど、数々のレースおいて優秀な成績を収めた。
張り出しだエアダム |
ノーズのエアスクープ |
6穴のホイール |
ダブルバルブのルーフ |
右側Cピラーにある給油口 |
ダックテールのリアエンド |
F/Rフェンダーに設けられたスリット |
センター2本出しマフラー |
RT10 | GTS | |
発表年 | 1989 | 1993 |
生産年 | 1992〜 | 1996〜 |
シャシー | 鋼管チューブラーフレーム | |
全長×全幅×全高(mm) | 4450×1920×1120 | 4447×1920×1115 |
ホールベース(mm) | 2445 | 2443 |
トレッド前後(mm) | 1534/1539 | 1513/1539 |
車両総重量(kg) | 1570 | 1541 |
エンジン | 水冷V型10気筒OHV | |
ボア×ストローク(mm) | 101.6×98.6 | |
総排気量(cc) | 7985 | 7996 |
燃料供給 | 電子制御制御 | |
圧縮比 | 9.6 | 9.1 |
最高出力(PS/rpm) | 400/5200 | 450/5200 |
最大トルク(kgm/rpm) | 62.2/3600 | 69.2/3600 |
エンジン搭載位置 | フロント縦置き | |
駆動方式 | 後輪駆動 | |
トランスミッション | 6速MT | |
変速比 1速 2速 3速 4速 5速 6速 後退 最終減速比 |
2.66 1.78 1.30 1.00 0.74 0.50 2.90 3.07 |
|
最高速度(km/h) | 265.5 | |
ステアリング | ラック&ピニオン | |
サスペンション | 前後ダブルウィッシュボーン | |
ブレーキ | 前後ベンチレーテッド・ディスク | |
ホイール | 10J×17(F)、13J×17(R) | |
タイヤ | 275/40ZR17(F)、335/35ZR17(R) | |
乗員定員(名) | 2 |
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